出入国在留管理庁が、外国人の永住許可審査を厳格化する方向で検討している。報道によれば、日本人世帯の平均を上回る年収に加え、その収入水準で厚生年金に30年間加入した場合に受け取れる額と同程度の「年金受給見込み額」を、原則として求める案が示されている。
ただし、これは「日本で厚生年金に30年間加入しなければ永住申請ができない」という意味ではない。30年という加入期間そのものではなく、将来受け取る年金額を基準として、老後も安定した生活を送れるかを確認する考え方である。
現在の永住審査では、素行が善良であること、独立した生計を営めること、永住が日本の利益に合することなどが求められている。税金、年金、健康保険料を適正に納付しているかも重要で、申請時に支払済みでも、納期限に遅れていた場合は不利に評価されることがある。
今回の案が正式に導入されれば、現在の収入や勤務状況だけでなく、老後の生活基盤まで明確に審査される可能性がある。永住者には在留期間や就労活動の制限がなく、在留期間更新も不要になるため、将来にわたり日本で安定して生活できるかを確認する考え方には、一定の合理性がある。
一方、厚生年金の受給額を重視しすぎると、自営業者やフリーランス、中高年で来日した高度人材や経営者が不利になるおそれがある。十分な収入や預貯金、不動産を持っていても、日本での年金加入期間が短いため、受給見込み額が低くなる場合があるからだ。
今後の焦点は、預貯金、不動産、企業年金、海外年金、配偶者の収入などを含めて総合的に判断するのか、それとも年収や年金額を事実上の足切り基準とするのかという点である。
現時点では正式なガイドラインが公表された段階ではないため、見出しだけを見て永住申請を諦める必要はない。ただし、今後は税金や社会保険料を期限内に納めるだけでなく、年金記録、受給見込み額、世帯収入、預貯金なども早めに確認しておくことが重要になる。