永住許可厳格化の前に考えるべき「審査体制」の問題

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近年、外国人政策をめぐる議論の中で、永住許可の厳格化が大きなテーマとなっている。実際、出入国在留管理庁は2026年2月24日に「永住許可に関するガイドライン」を改訂しており、永住者についても、これまで以上に適正な在留管理を求める方向性が鮮明になっている。

日本に永住する以上、税金や社会保険料を適切に納付し、法令を守り、安定した生活基盤を有することを求めるのは当然である。永住許可は単に日本に長く住んでいれば自動的に与えられるものではなく、法務大臣が個別に判断する許可である。

しかし、ここで一度考える必要がある。

現在の問題は、本当に「永住許可の要件が緩すぎること」なのだろうか。

むしろ実務の現場から見ると、先に解決すべきなのは、永住許可を含む在留審査を担当する出入国在留管理庁の予算と人員、そして審査体制そのものではないかと思う。

永住許可申請について、出入国在留管理庁が公表している標準処理期間は「4か月から6か月」である。 しかし、申請件数が多い地域では結果が出るまで長期間を要するケースも珍しくない。

この背景には、日本に在留する外国人そのものが急速に増加しているという事情がある。2025年末の在留外国人数は412万5,395人に達し、2024年末の376万8,977人からさらに大きく増加した。

当然、外国人が増えれば、在留期間更新、在留資格変更、永住、家族滞在、資格外活動など、入管が処理する案件も増える。

ところが、制度を厳格化すれば審査が簡単になるわけではない。

むしろ確認項目が増え、追加資料が増え、事実確認が増えれば、入管職員一人当たりの事務量はさらに増える可能性がある。制度を厳格化した結果、審査期間がさらに長くなってしまえば、真面目に納税し、日本社会で長年生活してきた外国人までその負担を受けることになる。

法務省自身も体制強化の必要性は認識している。2026年度予算をめぐっては、「出入国及び外国人の在留の公正な管理の推進」のため209億円が認められ、出入国在留管理庁の増員も進められている。さらに2026年7月には、同庁の定員を226人増員する措置も発表された。

これは逆に言えば、現在の入管行政がそれだけ大きな業務負担を抱えていることの表れでもある。

だからこそ私は、制度の厳格化より、まず現行制度に基づく取り締まりや審査を厳格化する方が合理的ではないかと考える。

現在の永住許可制度でも、素行、生活基盤、公的義務の履行、日本国の利益への適合などについて審査する仕組みは既に存在している。

問題がある外国人を排除するために、すべての外国人に対して新しい高いハードルを設ける必要があるとは限らない。

例えば、税金を継続的に滞納している者、社会保険制度から意図的に逃れている者、虚偽の届出をしている者、在留資格と実際の活動が大きく異なる者について、行政機関が保有する情報を連携し、個別に厳格な審査を行う。

逆に、長期間日本で生活し、税金や年金を納め、犯罪歴もなく、安定した職業と生活基盤を持っている外国人については、必要以上に審査を長期化させない。

このような**「問題のある者には厳しく、問題のない者には速く」**という運用の方が、本来の在留管理の姿ではないだろうか。

制度の基準を一律に引き上げることは、一見すると外国人政策を厳格化したように見える。しかし、それによって申請書類と審査項目だけが増え、肝心の調査を行う人員が不足していれば、本末転倒である。

必要なのは「厳しい制度」ではなく、違反を正確に発見し、それに適切に対応できる行政能力である。

外国人が400万人を超えた現在、日本の入管行政は既に巨大な行政分野となった。 今後さらに外国人労働者を受け入れるのであれば、法務省・出入国在留管理庁の予算と人員についても、それに比例して拡充していかなければならない。

永住許可の厳格化を議論すること自体には意味がある。

しかし、新たな条件を次々と加える前に、まず現在存在する法律と制度を十分に運用できているのかを検証すべきである。

制度の厳格化より、現行制度による審査と取り締まりの厳格化。

そして、それを可能にする十分な予算、人員、情報連携、デジタル化への投資。

永住許可制度への国民の信頼を高めるために必要なのは、単純に「永住を取りにくくすること」ではなく、適正な外国人とそうでない外国人を正確に見分けることのできる入管行政を作ることではないだろうか。